●3月22日付 毎日新聞朝刊 掲載内容
東日本大震災:ペット同伴の避難者を支援 県など「動物救済本部」設置 /新潟
毎日新聞 3月22日(火)11時39分配信


東日本大震災で、ペットと一緒に県内に逃れてきた避難者が安心して生活できるよう、支援する態勢の整備が進んでいる。中越、中越沖地震の経験を生かし、県と新潟市、県獣医師会、県動物愛護協会は「動物救済本部」を設置。ボランティア団体の新潟動物ネットワーク(NDN)とも連携し、各避難所を回ってペット用品の提供や獣医師による健康相談を行っている。【黒田阿紗子】

約500人が避難する新潟市西区の西総合スポーツセンター。別棟に設けられた専用スペースには犬17匹、猫7匹が避難している。同本部が貸し出した飼育ケージは、寒さ対策のため周囲を毛布や段ボールで覆っている。
飼い主からペットの健康状態を聞いてカルテを作成していたNDNのボランティア、森井里花さん(39)は「中越沖地震のときの経験があり、避難所が開設された時点ですぐに動き出すことができた。避難者に少しでも安心してもらえたら」と話す。

福島県いわき市のヘルパー、草野みつよさん(59)は雄の老犬「ライ」を連れて避難している。自宅では毎日同じ布団で寝ており、家族の一員だ。当初、ライは車中で過ごさせる覚悟で避難したため、居場所が用意されていることに驚いたという。「ペットフードも充実していて、ライの体調も落ち着いている。感謝してもしきれません」と顔をほころばせた。

一方、避難所によっては、ペット用のスペースを確保できないところもある。新潟市体育館では、避難者が出入りする狭いロビーに犬や猫14匹のケージを置いている。大型犬はやむなく車中で過ごし、心配な飼い主は添い寝することもあるため、エコノミークラス症候群になる可能性も懸念されている。市保健所は「余裕のある避難所に移るようお願いするケースも出てくるだろう」と話す。

動物救済本部は22日にも、ペットに関する電話相談窓口を開設する予定。



●3月23日付 読売新聞朝刊 掲載内容
ペットと避難 支援進む 〜専用空間や獣医師の健康相談

東日本巨大地震で、被災地からペットと共に県内に避難してきた人たちの支援態勢作りが進んでいる。中越地震、中越沖地震の際も、ペットと避難する被災者が多数いたことを踏まえ、県と新潟市、県獣医師会、県動物愛護協会は18日に「動物救済本部」を設置。ペットと触れ合うことが被災者の心の癒やしにもなることから、安心して共生できるよう、県内数か所の避難所に専用スペースを設け、飼育用品を提供したり、獣医師による健康相談を行ったりしている。

同市西区の西総合スポーツセンターでは、避難者がいる体育館とは別棟の屋内ゲートボール場を、避難者のペット用に開放。同市保健所によると、21日午後現在で犬17匹、猫7匹がいる。

1匹ごとにケージに入れ、飼い主には、避難所内に入る前に衣服に付いた毛を落とす、散歩時はふんは持ち帰り、尿には水をかける――などルールを徹底し、ほかの避難者や近隣住民とのトラブルを予防している。市職員やボランティアがカルテを作成、獣医師も巡回して健康診断を行っている。

福島県南相馬市から家族5人と猫1匹で避難したパート鈴木明美さん(47)は、「初日はまさかペットを受け入れてもらえるとは思わず、夫が猫と一緒に車で寝た。ここは餌も施設も充実していて本当にありがたい」と喜ぶ。

市保健所健康衛生課の照井一恵副主査は、「ペットは家族同様で、一緒に避難することは今では当たり前。ここでは飼い主がペットを見に来て笑顔を見せたり、散歩が適度な運動になったりと、避難者にとっても望ましい状態」と話す。

◇プレハブ小屋犬12匹で満杯 新発田◇
新発田市内の避難所の市カルチャーセンターでは、畳4畳ほどのプレハブ小屋がペット用に使われており、既に犬12匹がケージに入れられている。市によると、利用者が自身でケージを用意することが条件で、既に満杯状態。新たな利用者は断っているという。

自家用車で避難してきた人の中には、車の中で犬や猫を飼っている人も多い。また、被災者の中には、ペットを置き去りにしたまま避難してきた人もおり、新発田市内でガソリンを満タンにしてから、再び福島県南相馬市などに戻り、ペットを連れてくるケースも増えている。小屋は施錠されており、住民はその都度、センターに常駐している市職員に鍵を借りてペットを出す仕組み。南相馬市小高区の渡辺芳文さん(38)は「ペットも避難できる場所があり、ありがたい」と話す。

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