【迷子】

平成 19年 5月 24日 掲載

飼い主から捨てられたり、不注意から脱走して迷子になるのは犬や猫だけではありません。昨年度、新潟動物ネットワークが飼い主探しをした小動物は十三匹で、多くは道端にいたところを保護されました。

うさぎやフェレット、ハムスター、インコなど、捨てられたと思われるケースもあり、飼い主の元に戻るのは厳しいのが現実です。そんな中、一枚のチラシから不思議な巡り合いがありました。

昨年の十二月、年の瀬の寒い日に一羽のオカメインコが新潟市内で保護されました。寒さとストレスで下痢をしていましたが、保護者の元で体調の回復を待ちながら、新しい飼い主探しをすることになりました。

三月になって、一件の問い合わせがありました。二年半前に行方不明になったオカメインコの「ムーちゃん」ではないか、というのです。スーパーに張られた飼い主募集チラシの中の小さな写真を見ての問い合わせでした。半信半疑に思いつつもスタッフがインコを連れていったところ、ご主人は一目見るなり「ムーちゃんだ」と確信されました。

離乳食で小さい時から育てて、家の中で自由にさせて可愛(かわい)がっていたオカメインコを不注意から逃がしてしまったとのこと。近所のマンションのベランダで見たのを最後に行方不明になりました。チラシを張り、警察や保健所に連絡したけれど見つからず、その心労からご主人は体調を崩してしまったそうです。

それから二年以上も経過しており証明するものもありませんが、アルバムの写真を見ればそっくりです。ご主人が、「口笛を吹けば真似(まね)るはず」と言うのでやっていただいたら、本当にそっくりに真似たのです。どなたかに拾われて、再び迷子になったところを保護されたのでしょうか。二年以上たっても口笛を忘れることはなかったのでしょうか。

そのお宅ではすでに別のインコを飼っていたのでムーちゃんは保護者が飼うことになりましたが、大好きだった麻の実をおみやげにいただいたら、家に戻ってから喜んで食べたそうです。二年半もの空白を経て再び巡り合うこともあるんだなあと心に残る思い出になりました。

 


行方不明から2年半後に飼い主と再会したオカメインコのムーちゃん

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