【迷子を拾ったら】

平成 19年 6月 14日 掲載

もし、犬や猫を拾ったら、どうしたら良いでしょうか。目の前に救いを求める命を見た時に、私たちはどんなことができるのでしょうか。

六月に入って間もなく、ある相談を受けました。自宅の敷地内にひどく痩(や)せた、人なつこい猫が迷いこんできた、飼うことはできないので引き取って欲しいとのこと。会では引き取りはできないけれど、お手伝いならできることを伝えました。

多くの方は、このまま放っておこうかと、ここで大きく悩みます。しかし、相談者さんは翌朝には栄養剤の注射を打ちに獣医さんの所へ行き、元気になったら飼い主探しをすることを決めました。

迷わず猫を救い、保護を始めてくださった行動力をすがすがしく思い喜んでいましたが、その翌朝、猫はケージの中で死んでいました。わずか三日間の出来事でした。食事も摂(と)れないくらい衰弱していたのでしょう。人なつこい去勢手術済みの猫だったので、かつては誰かに飼われていたのかもしれません。あの時もっとこうすればと思うと後悔ばかりだとおっしゃっていましたが、最後に人の手の優しさに触れて、今ごろは虹の橋を渡り、安らかに過ごしていると思います。

迷子の犬や猫を拾った時は、まずは警察や保健所に届け出をしてください。飼い主が探しているのに戻ってこられない犬猫が実はたくさんいます。特に犬の場合は移動距離が多くて近くに飼い主さんがいないことも多いのです。また、この時期になると、捨て猫や、のら猫が生んだ子猫を拾ったが、どうしたら良いかという相談が本当にたくさんあります。

飼い主探しは大変だし、もし、見つからなかったらどうしようと不安に思うのも無理ありませんが、前に向かって一歩を踏み出した方の多くは良いご縁を見つけています。保護をして、獣医さんで健康診断を受けた上で、知り合いに声を掛けたり、かわいい写真つきのチラシを人が集まるスーパーなどに張るのも良いでしょう。獣医師会が飼い主探しのお手伝いをしているところもあります。

良いご縁が見つかったら、ぜひ、三つのことをお願いしてください。

一、最期まで責任をもってお世話をすること。
二、不妊・去勢手術をすること。
三、家の中で飼うこと。

新潟県では四千匹以上の犬や猫が毎年処分されていますが、その大きな流れを止めるのは「目の前の命を救う」勇気ある一歩から始まるのです。

 


保護された痩せた迷い猫。すぐに手当てを受け飼い主探しを
することになったが、数日後に死んでしまった

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