【多頭飼育】

平成 19年 6月 28日 掲載

一般的に、一人で飼える犬や猫の数は何匹くらいまでが妥当なのでしょうか。

家族構成や経済力、生活環境によってさまざまだと思いますが、最期まで責任を持ってお世話することを考えると、おのずと頭数は限度が見えてくるように思います。かくいう私も現在、犬三匹と猫二匹を飼っていますが、これが限度かなという気がしています。

個人が責任を持てる範囲を超えて動物を飼育してしまうと「不適切な多頭飼育」という大変深刻な状況に陥ります。これは動物たちにとっては虐待につながりますし、近くにお住まいの方にとっては生活環境の破壊につながります。

私が「多頭飼育」という言葉を初めて知ったのは五年前のことです。テレビのワイドショーで衝撃的なタイトルを目にすることはあっても、自分とは無縁の極めて特殊な話だと思っていました。ところが実際には活動を通していくつもの悲惨な光景を目にすることになったのです。

会で改善活動を続けているその場所は、当初、一人の男性が百匹近くまで犬や猫を増やしていました。かわいそうだと保護するうちに自分では手に負えない数になったそうです。その理由の真偽は別として、適切に飼育できなくなった時点で「動物愛護」とは正反対の話になります。

そこには、数日に一回しか餌を与えられず、光の当たらない木箱や狭いケージに閉じ込められて苦しむ犬や猫の姿がありました。残念ながら、動物に関して日本の法律はまだ整備されていません。昨年改正された動物愛護法では、周辺環境が損なわれている多頭飼育については飼育方法を改善するよう、勧告や命令を出すことができるようになりましたが、欧米のように飼育禁止の措置を設けるなどの動物たちを守る法律はありません。

狂犬病の予防注射すら接種していないのに何故(なぜ)、罰せられないのかも不思議ですが、これが現状です。もし、身近で不適切な多頭飼育の現場を見つけたら、保健所や警察などに通報をお願いします。暴力を振るっていなくても、適切な給餌、給水を怠っている場合は動物愛護法第二十七条の動物虐待に該当します。

多頭飼育に限りませんが、動物を飼う際は、個人が責任を持てる範囲を超えないこと、そして社会全体で動物問題を正しく監視することがとても大切だと思います。

 

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