【殺処分】

平成 19年 9月 27日 掲載

活動を通して詳しく知ることになった現実の一つに「殺処分」があります。

平成十七年度に新潟県で収容された犬や猫は五千六百四十七匹で、そのうち八割が処分されました。収容の四割は飼い主の持ち込みですが、動物たちがどのような最期を迎えるか知らない方がほとんどだと思います。

私が活動を始めた当時、新潟県では筋弛緩(しかん)剤の注射による処分でした。これは、呼吸は止めるけれど意識は失わない、つまりは窒息死です。平成十五年から鎮静・麻酔薬を注射して眠らせてから処置するようになりました。

新潟市の処分方法は炭酸ガスです。これは、閉鎖された空間(箱)に炭酸ガスを充満させて意識を失わせて呼吸を止める方法です。平成十六年から子猫は注射に変更されました。本来の「生」とは異なる形で命を奪われるのですから、動物たちができるだけ苦しまないようにすべきですが、どんなに工夫しても、飼い主の元で最後を迎えることに勝るものはありません。

処分される動物を少しでも減らすためには私たち自身がもっと考えなくてはなりませんし、社会全体でサポートする必要性も感じます。ペットの高齢化に伴う終末期獣医療の果たす役割も今まで以上に大切になると思いますし、飼い主のいない動物たちに再び新しい家庭を見つける流れも必要でしょう。

ところで一匹の白猫がつい最近、安住の地を見つけました。ある会社の敷地でのら猫に餌やりをしていましたが、その場所でお世話ができなくなり、このままでは処分されるという話も出たため、何キロも離れた別の場所に連れて行ったら、その日のうちに行方がわからなくなりました。心配していたところ、驚いたことに、数日後にその猫が会社の餌場に戻ってきたのです。

薄汚れたものの、怪我(けが)もせず、その強運にみなが喜びました。その後、命をつなぐリレーによって助けられ、今では家族の一員として幸せに暮らしています。目の色が違うのはオッド・アイと言い幸運を呼ぶそうですが、オッド・アイの白猫は、初めて猫を飼う家族の元に「猫と共に暮らす」幸せを運んでくれたようです。

 


「安住の地」を見つけたオッド・アイの白猫

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