【学校での動物飼育】

平成 20年 1月 24日 掲載

これからの時代を担う子どもたちが、もの言えぬ小さな命に対して思いやりと責任を持てる大人に育ってほしいと誰しもが願うことだと思います。では、学校は「命」を教える場としてどのように機能しているでしょうか。

日本では小学校の90%以上で動物を飼育しており、その意義の一つに「こころの成長」があります。会では数年前から動物同伴で学校訪問していますが、子どもたちの多くが生来、優しい気持ち、小さな動物を慈しむ気持ちを持っていることを実感します。そんな子どもたちが正しく成長できるような役割が学校での動物飼育に求められているわけですが、実際には多くの問題があるようです。

数年前に新潟市内の海岸にアヒルが捨てられたことがありました。幸いある学校が引き受けてくれたものの、さまざまな問題に直面して動物が犠牲になり、最後は譲渡にかかわったPTAがアヒルを引き取る結果となりました。ペットを飼う基本が、責任を持って飼うことなのは家庭でも学校でも同じです。責任とは動物の生態を知り、環境を整えて毎日の世話をして、病気になったら獣医に見せ、愛情を持って最後まで飼うことです。

実際には、そのどれをとっても、学校という環境では困難さが伴います。責任を持って飼えないなら飼わないという選択肢も一つですが、関係者の努力で前向きな取組みも行われています。

新潟市では新潟県獣医師会新潟支部と委託契約を結び、医療と教員教育の面からサポート体制を築いています。年一回の無料健康診断や、一定額の医療費を学校ではなく新潟市が負担しています。また、小学校一、二年生の生活科担当教員を対象とした研修会なども行われています。不適切な動物飼育が子どもたちのこころを傷つける結果になっては何の意味もありません。

大切な時期に豊かなこころを育てる環境が学校に整うようにと思います。なお、商業主義的な触れ合い動物イベントがありますが、ただ触るだけではこころは成長しないことは言うまでもありません。私たち大人が子どもたちのためにどのような場をつくることができるのか、考えてみたいと思います。

 

次のエッセイへ>>>

このページのトップへ