【フィラリア症】

平成 19年 4月 26日 掲載

犬を飼っている方にとって春はちょっぴり忙しい季節です。法律で義務づけられている年に一回の狂犬病予防注射の接種と、フィラリア症という重大な病気から愛犬を守る大切な準備が始まるからです。

昨年、海外で犬に咬(か)まれた日本人が狂犬病で亡くなる不幸なニュースが流れましたが、日本国内での発症例は五十年間ありません。危機感がないためでしょうか、日本では予防注射をしない人が年々増えており、接種率は全国で七割強しかありません。新潟県でも九割を切ってしまいました。

しかし、海外では珍しい病気ではなく、日本人が犬に咬まれたフィリピンでは毎年二百人以上が狂犬病で命を落とすのですから、もっと真剣に考える必要があると思います。

ところで犬自身にとってはもっと身近で怖い病気がフィラリア症です。「蚊が原因で犬が死ぬ病気」と言えばご存じの方も多いのではないでしょうか。蚊が媒介してミクロフィラリアという小さな虫が血液の中に入り、それが成長して心臓や肺に寄生して、最後は二十 cmもの長さの成虫になって命にかかわる大変苦しい障害を引き起こす恐ろしい病気です。

蚊が出る季節に合わせてお薬を毎月一回与えれば予防できるのに、病気を知らなかったり、蚊取り線香を使うだけとか、室内飼いの犬には必要ないと思う方がまだ多いようです。保健所に収容された犬を健康診断するとフィラリアにかかっている犬がとても多いことがわかります。

譲渡後に突然体調が悪化して治療の甲斐(かい)なく亡くなることもありました。私自身も最初は知識がなく、治療に大変な根気が必要なことも、犬がどれほど苦しむのかも知りませんでした。

「ひなちゃん」は高速道路に捨てられた犬でした。幸い、とても愛情深い飼い主さんにもらわれて、心の傷を癒やすのにも時間がかかりましたが、フィラリアも克服することができました。

今月、ひなちゃんに新しい仲間が加わりました。動物保護管理センターで子犬を出産した母犬「ラブちゃん」です。何とか病気に負けないでがんばって欲しいです。「フィラリア」は簡単に防げる病気です。飼い主のみなさん、よろしくお願いします。

 


フィラリアを克服したひなちゃん(左)と治療中のラブちゃん

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