のら猫について

外で見かける「のら猫」について、あなたはどう思われますか?

猫が町中をブラブラしていると可愛い。

陽だまりでひなたぼっこしている姿を見るとホッとする。

と思われる方がいらっしゃるでしょう。

反面

町中をブラブラしていると、交通事故に遭ったりして危ないし、轢かれた姿を見るのもイヤ。

どこでおしっこしているかわからないし、とにかく汚い。

と思われる方もいらっしゃるでしょう。

でも、のら猫は好きでそういう姿でいるのでしょうか?
   それ以前に、ではそもそも「のら猫」ってなんでしょうか?

もともと猫は「イエネコ」という種類で、昔から人のそばで暮らして来た生き物です。
決して「野生動物」ではありません。言い換えれば、本来は人間に頼ることでしか
生きていけない動物です。自分自身の力で、自分が今いる環境から自分の食べ物を
得ることができる「野生動物」とは根本的に違うのです。

もちろん、生まれついてののら猫もいます。
親猫がのら猫だった場合、親から生きていく術を学びながらも、一生のら猫として
生きていかなければならない猫もいます。
でも本来、集団を組まない猫はいつまでも親と一緒にいられるわけでもなく、
早いうちに親から子離れさせられる子猫もいます。そして、そうした場合、たいがいは
子猫のうちに命を落とします。人間の手で保健所に持ち込まれ、殺処分される子猫も
たくさんいます。

また大人の猫でも平均寿命は、だいたい4~5年くらいと言われています。
ケンカが原因でいろいろな病気になることもありますし、交通事故に遭うこともあります。
野良暮らしは厳しく、決して自由気ままなものではありません。

では改めて、野生動物ではないのら猫とはいったい何なのでしょうか?

「のら猫」とは単に「飼い主のいない、かわいそうな猫」です。
そしてまたのら猫は、好きこのんでのらをしているのではありません。
ただ「飼い主がいない」だけで、猫にはなんの罪もないのです。

そういう気持ちで、外を歩いている「のら猫」を違う目で見てください。
今まで「外をのんびり、気ままに散歩できて楽しそうだな」と思っていたのら猫が
お腹を空かせ、雨に打たれ、吹雪に凍え、人に追われ、車に怯え、
(子猫はカラスに襲われることも多い)、どんなに苦労して毎日を過ごしているかが
少しわかってくるような気がしませんか?

また、どこでもフンをして汚い、発情するとうるさく鳴きわめく、などなど
人間社会にとって困った問題も、その原因はその猫自身にあるのではなく、
「飼い主のいない猫に飼い主を見つける」ことで解決するということも
わかってくると思います。もちろん、「すべてののら猫に今すぐ飼い主を見つける」
ということがすぐにできるとはいえません。

しかし、これ以上かわいそうなのら猫を増やさないように、飼い猫には
きちんと不妊去勢手術を施し、完全室内飼いにつとめてください。
猫は上下運動ができたり、隠れたりする場所を作るなど、工夫をすれば
室内だけでも楽しく暮らすことができます。

また、もしエサをあげているのら猫、外猫がいた場合、その猫たちにも
きちんと不妊去勢手術をして、これ以上「不幸な命」が増えないようにしてください。

また元飼い猫ののら猫も残念ながらいます。
猫を飼ったら、一生面倒を見る覚悟で飼ってください。決して捨てないでください。
捨てられても、その猫が拾われて、また飼い猫として幸せに過ごせる可能性は
低いと思ってください。捨てられたらその瞬間から、その子は命の危険にさらされることになります。

最近では、「すべてののら猫に飼い主を見つける」ことが今すぐできなくても
エサを与え、フンの始末をするなど、現在世話をしている猫をその猫一代限り
一生面倒を見るという「地域ねこ活動」も増えてきています。

お腹を空かせ、トボトボと外を歩くのら猫がいなくなるように、猫にはすべて飼い主がいて、
暖かい家の窓際でのんびりひなたぼっこしたり、外を眺めたりしながら、
飼い主の愛情に包まれて一生を終える猫ばかりになるようにしたいというのが私たちの願いです。

でもそれは私たちだけではなく、あなたの協力が必要な時もあります。
積極的な協力でなくても、のら猫を少し違った気持ちで見てくれることで
少しずつでも変わる状況があるかもしれない・・・ということを気持ちの
片隅に置いていただけたら嬉しいです。

 

最後に、猫を飼う場合は正しい飼い方を学び、責任を持って
一生きちんと飼育しましょう。
愛情を注げば、必ず猫たちは応えてくれます。

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