メッセージ1
『一匹の犬との出会い』
第三回(2007年度)私のメッセージ 三条市小学生大会
三条市大面小学校6年 中野 杏香
わたしの家に一匹の犬がいます。名前は、スカッシュといいます。
スカッシュと出会ったのは8ヶ月前です。そのころ私は、「盲導犬不合格物語」という本を読んで犬を飼ってみたいと思いました。そして、飼い主がいない犬の里親探しをしている団体を探して、そこに連絡を取りました。いよいよ私の家に犬がやってくることになりました。その時はとてもうれしかったです。
こうしてわたしの家にやってきたスカッシュですが、実はスカッシュがうちに来るまでには、こんなことがあったのです。
スカッシュの母犬は、飼い主にすてられて、外で子供を産みました。えさがないので、えさを求めて人のところにいって、パンなどをもらって子犬に食べさせていたそうです。そして、自分はカエルや虫をとって食べていたらしいです。食べ物だけでなく、他にも大変な思いをしながら子育てをしていました。こうして母犬が一生けんめい守り、育ててきた子犬がスカッシュです。
初めは、軽い気持ちで犬を飼おうと思っていたわたしですが、この話を聞いて、母犬がこんなに大事にして育てた子犬なんだから、私も一生けんめい世話をしてあげないとと思いました。
それから、スカッシュとの毎日が始まりました。毎日夕方の散歩に連れて行くと、スカッシュはとてもよろこびます。いっしょに、遊んだりもします。スカッシュはうちの家族と同じになりました。
また、わたしは新潟動物ネットワークの人からこんな話を聞きました。スカッシュは、一緒に飼われていた歳をとった犬や、目が見えないチワワの面倒もみてやっていたのだそうです。自分のことだけでも大変なのに、他の犬の面倒までみてやるなんて、人間だってなかなかできません。本当にやさしい心を持った犬なんだと思いました。
スカッシュと出会うまで、私は犬のこと、犬の命を人間より小さいものだと思っていました。でも、今では、わたしにとってスカッシュは、両親や弟と同じ家族です。それに、犬が人間と同じか、それ以上に優しい心をもっていることも知りました。命の重さにちがいはないと思うようになりました。
ところが、今、日本では、たくさんの犬がお金もうけのためにはんしょくさせられたり、飼えなくなって捨てられたりしています。ペットブームだからと、ファッションの一部のように犬を飼う人がたくさんいるのです。
また、ホームセンターなどで簡単に犬を買うこともできます。そして、飼ったけど自分の都合で飼えなくなったからといって捨ててしまう人がたくさんいるのです。
こうして捨てられた犬はどこに行くか知っていますか。里親をさがすグループの人たちに預けられて、飼い主が見つかる犬もいますが、中には保健所に連れて行かれて、処分されてしまう犬もたくさんいます。新潟県でも一年に約五百匹の犬が注射や、炭酸ガスで殺されているそうです。
みなさんは、自分の家族や友達をそんなふうに簡単に見捨てたりしますか。そんなことはないはずです。犬も人間も生きているものは、すべてが同じ重さの命です。犬を飼おうとする人は、責任を持って最期の時までみ取るというかくごが必要です。お金もうけの道具にしたり、簡単に捨てたりする人たちには、犬を買う権利はないと思います。
一匹の犬との出会いから、わたしは、命の重さについて考えるようになりました。捨て犬がなくなるような社会になればどんな命でも大切にされるようになると思います。
今すぐわたしにできることは、小さな一歩ですが、スカッシュをお母さんと同じように世話をして最期までちゃんとみ取ってやることだと思います。そして命の重さということをいつも、心にとめておきたいと思います。