【最期の日】

平成 19年 8月 23日 掲載

お盆も過ぎましたが、故人の思い出に、しばし想(おも)いをはせた方も多かったと思います。命あるものは必ず最期の日を迎えますが、それはペットも同じです。

犬や猫は、わずか一年で大人になり、それから年に四、五歳ずつ年をとります。いつの間にか飼い主の年を通り越し、老いていくのは不思議な感じがします。ペットがどんな最期の日を迎えるかは、すべて、飼い主の手にかかっています。

そんな動物たちの想いを綴(つづ)った詩に「虹の橋」と「犬の十戒」があります。いずれも原作者不明ですが心に響きます。天国のほんの少し手前に「虹の橋」と呼ばれるところがあります。飼い主と愛し合っていた動物は死ぬとそこに行き、幸せに満ちた生活を送ります。

そして、ある日、「特別な誰か」と再会します。お互いの心から一日も消えることのなかったその瞳を確認し、一緒に虹の橋を渡ります。生きているときに誰にも愛されなかった動物もそこでは奇跡が生まれます。同じようにぽつんとたたずむ中から特別な人と出合い、そして一緒に虹の橋を渡るそうです。

 「犬の十戒」は飼い主に向けたメッセージです。

一、私の一生は十五年ほどしかありません。わずかな時間も離れるのは辛(つら)いから、私を飼う前によく考えてください。

二、あなたが望むことを私が理解するには時間が必要です。

三、私を信頼してくれるだけで幸せです。

四、私に辛い罰を与えないでください。あなたは自分の世界があるでしょうけれど、私にはあなたしかいないのです。

五、私に話しかけてください。言葉はわからなくても私は理解できるのです。

六、あなたの扱いを私は決して忘れません。

七、私を叩(たた)く前に思い出してください。あなたの手を噛(か)み砕く歯を持っていても、それを使わないことを。

八、私を叱(しか)る前に原因があなたにないか考えてみてください。

九、私が年をとってもお世話をしてください。あなたも同じように年をとるのです。

十、最期の旅立ちのときは側で見送ってください。あなたが側にいるだけで、どんなことも安らかに受け入れられます。そして、どうか、忘れないでください。私があなたを愛していることを。

 


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