【外で暮らす猫】
平成 19年 12月 13日 掲載
早いもので、エッセーの連載ももうすぐ一年になりますが、季節はめぐり、また冬が訪れました。寒くなるとどうしても、外で暮らす猫たちが気にかかります。
猫は暑さよりも寒さに弱い動物で、飢えと寒さで命を落とすことも少なくありません。外で生きていかざるをえない猫たちのために、会では毎年、「猫ハウス作製会」を実施しています。ポリタンクを収納するコンテナに猫が出入りできる穴を開けるだけの簡単なものですが、その効果は抜群です。
湿気がこもらないようにスノコとペットシーツを敷き、その上に重しのコンクリブロック、断熱材の発泡スチロール、毛布を入れて、結露防止のため蓋(ふた)の部分にペットシーツを張ります。寝床としてだけでなく、安心して餌を食べる場所にもなり、お世話をする人にとっては清潔に管理ができて、周りに迷惑をかけないで済みます。
のら猫は野生動物ではなく、家猫が何らかの理由で捨てられて生き延びた結果の存在で、人の力を借りなくては生きていけません。また、旺盛な繁殖力を持っているため、自然の摂理に任せていると、あっという間に増えてしまいます。昨年度だけで千件を越える猫の苦情や相談が保健所や動物保護管理センターに寄せられていますから、私たち誰もが猫と何らかの接点を持つ可能性があるということです。
たまたま一匹ののら猫にかかわって以来、七年間に渡って数十匹の猫たちの餌やりや飼い主探しを続けてきた方から連絡をいただきました。以前、この場で紹介したコロタンの母猫が、ついに保護できたというのです。片目がなく、警戒心がとても強い猫で、何とか不妊手術は済ませてお世話を続けてきましたが、一年前から猫エイズという病気を発症しました。
口からよだれを垂らし、餌を食べるのも困難になり、見る見る痩(や)せてきたので何とか保護しようと試みていたところ、ある寒い日の夜、捕獲に成功したそうです。残念なことに容体が急変して、それからわずか一カ月で亡くなってしまいましたが、最期を看取(みと)ることができて良かったとおっしゃっていました。今、残っているのら猫は四匹です。この冬を何とか乗りこえて欲しいと思います。
2年前、元気なころの母猫
10月に捕獲したときのやつれ果てた姿。のら生活の過酷さがうかがえる