【動物たちの一年】
平成 19年 12月 27日 掲載
今年も残すところあとわずかですが、動物たちにとってはどんな一年だったでしょうか。
行政の取り組みをみると、県動物愛護センターや新潟市小動物愛護センター(仮称)という施設の建設を目指してハードの面で準備が進められています。ソフトでは「動物愛護管理推進計画」といって、今後十年間にわたり県がどのように動物の愛護と管理に取り組むかを示す指針が三月までに決定される予定です。
日々の生活では、ペットを単なる商品としかみないような「移動販売」がいまだに目につくのは悲しいことです。のら猫問題も、解決にはほど遠いように感じています。その一方で、もの言えぬ動物たちのために心を砕き、愛情深く接している多くの方の温かさを知る一年にもなりました。
会の活動も七年目に入り、少しずつ、動物との別れを聞く機会も増えています。六年前に当時、九歳のハスキー犬を譲渡したご家族から連絡をいただきました。シロは元の飼い主が引っ越した後にガレージにぽつん、とつながれていたのを保健所に持ち込まれた雌のハスキー犬でした。一時保護者のお宅に、そのご家族が見に来た最初の瞬間、シロはこの人だと決めたようで、ぴょんと車に乗り込んでしまいました。
車が大好きで、それからは毎年、旅に出て、山に登ったり、スノーシューをしたり、犬と一緒に泊まれるペンションも行きました。二年前から老いが顕著になり、庭につながる五十センチの段差を乗りこえることが困難になりました。一念奮起してシロのために家を新築しましたが、そこで暮らすことができたのはわずか十カ月でした。今年八月になると、散歩はおろか、一人で立ち上がることも難しくなりました。
寝たきりにならないよう歩く練習をさせ、垂れ流しのおしっこのシートをとりかえ、夜は交代で水を飲ませました。亡くなる四日前、すでに歩く力もなかったシロが彼女の大好きな場所であるキッチンまで歩き、じっとたたずんで、しばらくしてから再びリビングに戻ってきました。最後に大好きな場所をしっかりと覚えておきたかったのでしょう。
シロとの別れは辛(つら)く悲しいものだったけれど、弱りゆく姿を通して「死ぬ」ということを教え、「生きる」とはどういうことか、しっかり見せてくれたそうです。動物たちの「生」をきちんと受け止めることができた時、かけがえのない「命」に気づくことができるのだと思います。来年もさまざまな動物たちとの出合い、人との出会いがあると思いますが、温かな気持ちで包まれるような一年になりますよう願っています。