【害獣用わな】

平成 20年 1月 10日 掲載

今年は子年なのでネズミにまつわるエピソードはないかな、と考えていたら、二年ほど前に犬抑留所で見た光景を思い出しました。

その日、いつものように犬や猫の様子を見に行ったら、職員さんに「こっちに来ない方が良いよ」と言われました。何があるのか不安になり奥に進んだら、粘着性のネズミ捕りに小さな子猫が捕らわれてぐったりしていました。その時は何とかシートから剥(は)がして助けることができましたが、救えない場合も多いと聞きました。人間から害獣と呼ばれる動物たちはたくさんいます。それらを放置するべきだとは思いませんが、対策の方法については考えさせられることも多いです。

鳥獣捕獲用に長年使用されてきた「トラバサミ」をご存じでしょうか。トラバサミは、動物が踏むとバネの力で金属製の歯が閉まって脚を挟むワナです。鋭い歯で肉をひきちぎり骨を砕くこともある恐ろしい道具です。設置したまま何日間も放置されるので、捕らわれた動物たちはそこから逃れるために自らの脚を食いちぎったり、苦しみながら朽ち果てることになります。

ペットや希少種など不特定多数の動物が捕獲される危険から規制が強化されて、昨年から狩猟での使用は禁止になりました。有害動物の駆除では条件付きでまだ認められているので課題も多いです。

のんちゃんは五年前の夏、トラバサミにかかったまま苦しんでいるところを保護された猫です。傷が化膿(かのう)しており助からないだろうと言われたところを、二度の手術で命を救われました。そして、一時保護をした美容院のアイドル猫として、その後の余生を過ごすことになりました。

最初はひどく痩(や)せておどおどしていたものの、多くの人から愛されて、その後に迎えた猫のシシオと仲良く暮らしていたそうです。昨年五月からは胸水がたまって呼吸困難になり、毎週、胸水を抜いていましたが、時々苦しそうに発作が起きるのを美容院のスタッフみんなで呼び掛けて、虹の橋を渡るのを引き止めていたそうです。ある日の朝、眠ったまま亡くなりましたが、幸せな「猫生」を送ることができました。

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