【登録制施行】

平成 19年 5月 10日 掲載

シェルティーの「太郎」は六年前に保健所から引き取った犬です。
新しい飼い主さんに紹介しようと引き出したものの、全く人を信用していない事がわかり、結局、わが家の一員になりました。長い棒を見ると狂ったように興奮し、手を近づけると攻撃します。散歩のためのリードもつけられないし、足もふけません。

犬を怖いと思った事のなかった私が、こんなに危険な犬もいるのだと感心したくらいです。引き出す時は猫をかぶっていたのですから賢い犬です。悩んだ末、訓練士の先生から週三回、飼い主である私自身が犬の扱い方を学ぶ事になりました。

太郎は「待て、伏せ、ハウス」など何でも知っていて、足りないのは人間との信頼関係だけだったのです。生まれつき人に対して攻撃的な犬はいないそうです。また、心に深い傷を負うと癒えるのに三倍の時間がかかるそうです。

問題行動だと思う事がその犬の特性だったり、原因を作っているのが実は飼い主だったりします。いずれにしても飼い主が学ぶ事が大切だという事です。

ところで来月から動物取扱業が「登録制」になります。動物取扱業というのは、ペットショップなどの販売やホテルなどの預かり、訓練や展示などの事です。ネット販売や、いわゆる個人ブリーダーも該当します。

自分の飼い犬に子犬を産ませて金銭の授受をする場合も登録しなくてはなりません。また、動物の管理方法も細かく決められているので、基準を満たさなければ登録できせん。氏名と登録番号の明示が義務付けられたので、六月以降に表示がないお店を見かけたらすぐに最寄りの保健所に連絡をお願いします。

私の身近にも、想像を絶する悲惨な飼い方をしているブリーダーがいます。光もろくに入らない小屋の中で狭くて不潔な檻(おり)に入れられて、餌や水の管理もされないまま、今も何十匹もの犬が苦しんでいます。このブリーダーが登録を受けられるとはとても思えませんが、法改正によって金儲(もう)けの道具にされて陰で苦しんでいる動物たちの状況が少しでも改善されることを願っています。

 


わが家の愛犬太郎。今では心が通じ合っている大切なパートナー

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