多頭飼育現場の悲惨な状態

平成14年6月、犬猫を80匹以上飼養している人の存在を知りました。
犬は光も当たらない箱の中や狭いケージの中に数頭ずつ押し込められるなどされ、散歩や糞の掃除なども一切行われていませんでした。

餌は給食の残飯を3日に一回、水は与えられず、糞尿と虫が湧く中で生きていました。

現場にはたくさんの屍体もありました。

猫は廃車の中に縛られ、または狭いケージの中で糞尿が蓄積された上で生きていました。

ここでは、今までたくさんの命が生まれ、そしてかわいそうな死に方をしてきたことでしょう。

最初は敷地に入る事を拒否され、フードの寄付から始め、飼い主を説得していきました。

平成14年10月から私達はここの現場の環境改善、犬猫の世話、病気予防や避妊手術などを行ってきました。

ほとんどの犬は、外の世界や飼い主以外の人間を知らない為、人間に対し恐怖心をもっていました。

飼い主に恐怖心を持っている犬も少なくはありません。

   
狭いケージの中で散歩もさせられず生きてきました。   この、光の当たらない箱の中には4頭の犬が入っていました。そして犬が立っているのは1m以上蓄積された糞の上です。   この、汚い場所で最後を迎えなければならなかったこの犬はどんな気持ちだったのでしょうか。そして、骨と毛皮だけになってどのくらいの間放置されているのでしょうか。

ここの場所は環境の整備が整っていないので夏の暑さ、冬の寒さは半端ではありません。

満足に食べさせてもらえない犬達はこの過酷な環境に耐える体力が無い犬から順に死んでいきました。

人間を怖がっていた犬達も、だんだんと心を開いてくれるようになりました。

そして私たちは犬や猫を譲渡するようになりましたが飼い主による新たなる持込が絶えません。

今まで犬猫合わせて譲渡してきた数が200匹を超えました。

そして平成20年7月にここの現場は無くなりました。

   
きれい好きなはずの猫が糞尿の蓄積された上での生活です。   廃車の中に縛り付けられていました。   この狭い場所の中でただ生きているだけなのです。

現在の社会では、犬や猫を商品として大量に生産、販売しています。

商品として作られる以上、不良品、売れ残りと称された犬や猫が大量にでてきます。
その犬や猫はどうなってしまうのでしょう。

又、新しい物を買っては棄てる、要らなくなっては棄てるといった事が当たり前のように行われています。

その結果、一方では大量に生産し、もう一方では、それによってあふれた犬や猫を保健所などで大量に処分しているという矛盾が毎日繰り返されています。

ここの飼い主も最初は犬や猫が保健所で処分される事が可哀想で棄てられている犬や猫を集めていました。

しかし、増えてくるにしたがって管理できなくなり、そして世話をしなくなり、また現場でどんどん生まれるという悪循環によって今のような状態になっています。

現在の社会に問題が有るのも事実ですが、結局は、ここの飼い主は動物の管理、世話もしないのに無責任に動物を集め、また子犬を生ませて、その結果たくさんの動物を虐待といってもいい飼い方で苦しませているのです。

   
糞があふれて外に流れ出ています。   前にあるのは全部猫の汚物です。   土の中に埋められる事も無く保存されていました。
     
土の中に埋められる事も無く保存されていました。   猫はほとんどが廃車の中で飼われていました。夏はどうすごしたのでしょうか。  
   
現場にはたくさんの骨や死骸がありました。これらの他にもごみ袋の中にたくさんまとまって入っていました。   外につながれている犬も、ジャングルのような草の生え茂ったこの場所で、姿が見えずあちらこちらから泣き声だけが聞こえていました。  
      この犬達は眠る時はどうやっていたのでしょうか。
犬が立っているのは土壌ではありません。何年もかけて蓄積された糞尿の上です。        

 

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