2007年6月〜2008年3月
猫多頭崩壊レスキュー
経緯
またしても猫をめぐる問題で解決が困難なことが起こりました。
新たに存在した猫屋敷はいわゆる【多頭崩壊】にあたります。
50~60代の夫婦二人でしたが、ご主人が入院し、ガスも電気も電話も止められてお金がない。 「今月だけ、フードを恵んでもらえないか?」と新潟動物ネットワーク(以下、NDN)に連絡がありました。
実は、この連絡が来る前、一年半ほど前にもNDNに相談がありました。「猫が増えて困っているどうにかして欲しい!」当時も同じくスタッフが訪問し、増えないようにするにはせめてオスだけでも去勢手術をしましょう、割引いてくれる獣医さんも紹介しますということで段取りをつけたものの、結局「どうせ死ぬんだからお金が勿体ない」ということで去勢手術をしないままとなりました。
その後、管轄の保健所にも通報し職員が訪問したそうですが、特に虐待にあたらないということで、それきりとなっていました。
そして、今回の連絡を受けて猫班スタッフが2名で訪問すると・・・・・・
6畳の部屋に29匹の猫。(うち生後2、3ヶ月の子猫が8匹)・・・・・・全て親子関係により近親交配で繁殖した子です。
飢餓状態で3キロの入りのフード袋2つ分が一瞬でなくなりました。 まったく食べていなかったせいか、部屋には糞がなく、尿だけの臭いでした。
以前は、弱いものや幼い子猫は他の猫に食べられて、屍体を押し入れに入れていたそうです。 繁殖を防ぐ為に飼い主が写真の狭いケージの中にオスだけを押し込めてしまいました。 その為に、オス同士はストレスでケンカによる怪我が絶えず、中には片目がなくなった猫も・・・・・・
応急的な対処
- その時の対処として・・・・・・
手持ちのフードを置いてきました。
しかし、後日「フードよりも猫砂の方が高いんだから フードと一緒に猫砂も持ってきてくれればいいのに」との連絡がありました。 - 妊娠中と思われるメスを1匹手術しました。
手術の結果妊娠していませんでした 。 - 保健所に通報しました。 (通報を受けて指導に行ったようですが詳細は不明。)
- 子猫は訪問したスタッフが、一番具合の悪い子猫を1匹保護しました。(その後亡くなりました)
それと、後日訪問したスタッフが6匹保護しました。(すくすくと育っていましたが、6匹のうち1匹が亡くなりました) - 担当の民生委員と連絡をとっています。 (問題があるのは把握していました。)
訪問した時に思ったこと・・・・・・
本人は、自分が不適切な飼い方をしているとは全く思っておらず、保健所に指導されて大変腹が立っている、うちに来る位なら野良猫の問題をどうにかしろ、と言いたいそうです。
本人の意向は以下の状況です。
- 好きなアメショー柄の子猫は手放さない。 アメショー柄ではない子猫はどうでも良い。
- 好きな柄でない茶トラなどの成猫5匹は手放して良い。
- オス猫6匹の手術はしてもらえれば助かる。
(家の中だとかわいそうなので外に出して餌だけやっても良い。)
保健所には「動物虐待の可能性もある」として更なる指導をお願いしています。飼い主には支払い能力は全くなく、あるのは多頭飼育者特有のプライドだけです。
感染症が蔓延しており検査は必要だと思います。
(亡くなった子猫は白血球が5万、血色素量は半分以下で重度の貧血。別の猫も白血球が3万もありました。)
再度訪問した際に子猫6匹を保護したスタッフからの報告
妊娠中と思われるメス猫を病院まで搬送するためにお宅へ伺いました。色々なやり取りがあったのですが、結果的に保護して帰ってきてしまいました。
私が行ったときはNDNからのフードをもらった後だったので、糞尿のものすごい臭いで暑さと湿気も加わって部屋中が悶々としていました。しばらく飼い主から猫に対する屈折した愛情を熱弁され
「仔猫は死んだら共食いされる、この猫とこの猫が仔猫を食べていた」と言われた時にはこの弱った仔猫たちもその運命なのかと思い、いてもたってもいられなくなりました。目がつぶれた子、耳をかじられ腐りかけた子、背中の毛が一部剥がれ出血している子、目やにで両目が開かない子、グッタリして動かない子・・・・・・みんな鳴く力もありません。
他にも紐で行動範囲を制限された成猫のオス(ケンカや妊娠を防ぐためと言っていましたが)や、目の前で飼い主にバンバン叩かれる猫たちをみて、「これは明らかに虐待だ」と思いました。
恐ろしくて飼い主に意見することもできず、「友達で猫が欲しい人がいるので」と言って弱った仔猫を保護して病院に行きました。 (現場には、もう1匹仔猫が残されています。お気に入りのアメショー柄は手放したくないそうでとても心配です)
その後、耳ダニ・ノミ駆除、抗生物質、目薬、食べれない子にはシリンジで授乳し、6匹とも元気に過ごしています。一番危機的状況だった子も、今日はじゃれて走り回っていました。みんなドライフードをガツガツ食べています。
★★この猫たちは親子兄弟同士で繁殖を繰り返し、その為に病気とか、目がないなどの身体的に異常な子が殆どです。白血病、FIPなどの伝染病も持っている可能性が高く、保護も出来ない状態です。もし健康な子がいましたら里親募集もしますが、それよりも一刻も早く避妊去勢をしてこれ以上、悲惨な繁殖を防がなければなりません。繁殖手術を受ける為に、多大な費用が必要となります。
その後の対応
最終的に目指すところは、飼い主の権利放棄もしくは責任を持って面倒を見れるところまで数を減らすということになるかと思います。できるだけ短期決戦で行こうと思います。(多頭飼育者にはじれったい気持ちを抑え、刺激せずに事を運ぶといった対応がよいのだそうです。) なので、このことを踏まえ、まずは、これ以上子猫が産まれないよう去勢手術をすることから始めようと思います。
飼い主にはこれほど多くの猫を飼う能力がないことから説得と続けた結果、手放すことに同意しました。その後の検査で、白血病に感染している子たちがたくさんいることが判明しました。本来であれば、飼い主の自己責任で解決することですが、状況の深刻さからNDNでできることを検討した結果、以下の方向性を考えました。
- すべての猫の不妊去勢手術、病気治療を行う。
- 飼い主が飼育できる範囲の数に減らす。
- 今後、このようなことが繰り返されないように、保健所に指導・監視を求める。
- 可能な限り、新しい飼い主をさがす。
行政の対応
今回のことを新潟市保健所にも要望を文書で提出そ、回答を求めました。しかし、その結果返ってきた回答は到底納得しうるものではありませんでした。
結論としては、どの対応が飼い主に納得してもらえるのかが分からないというものでした。また、飼い主に権利放棄をさせ猫たちの譲渡会を開くということについても方法によっては安易な引取りを助長することにはならないか?ともありました。行政との対応については、今後も引き続きプッシュプッシュで行政にも動いていただくよう迫っていきたいと思います。
解決に向けて
その後有志によって、飼い主宅の清掃をし1階と2階で白血病キャリアの子とそうでない子とを住み分けました。不妊去勢手術も全頭行い、これ以上の繁殖はなくなりました。飼い主が手放すことに同意したので、老猫6匹を飼い主のもとに残し、子猫を含め24匹を対象に譲渡会を3回実施しました。
(頭数には、その後現場で生まれた4匹、飼い主が拾った5匹の子猫を含みます)
譲渡会の結果、5匹(うち3匹は白血病キャリア)はその後も飼い主募集をし、1匹はNDNで、あとの4匹はアニマルガーデンさんで引き続き保護していくことになりました。
そして、この時点でこの「猫多頭崩壊レスキュー」を終了しました。
猫屋敷レスキュー 会計収支 | |||
---|---|---|---|
収 入 | 支 出 | ||
寄付 | 812,568円 | 医療費 | 314,766円 |
保護費 | 88,600円 | ||
消耗品費(フード、猫砂) | 61,174円 | ||
印刷費 | 2,800円 | ||
交通費 | 8,300円 | ||
支払手数料 | 1,365円 | ||
アニマルガーデンへ | 150,000円 | ||
繰越金 | 185,563円 | ||
計 | 812,568円 | 計 | 812,568円 |
※なお、繰越金につきましては、引き続き猫を保護するアニマルガーデンへ移譲しました。
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子猫5匹)が住み着いた - 極度の栄養失調と風邪により、
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